ダービー制覇

●1996/6/2 第63回日本ダービー●
気持ちが思わず言葉になった。
「我慢だ、我慢しろ」
18万人の大観衆が待つホームストレッチが視界に入った時、藤田はつぶやいた。
手応えは良い、
勝てるかもしれない、
はやる気持ちを必死に抑える。直線ラスト350mで武・ダンスインザダークが先頭に立つ。
この時を待っていた。
藤田は左ムチを叩きつける。
独走態勢に入ったダンスを外から急追する。
ラスト100mで並び、
50mでかわす。
ゴールに飛び込むと同時に右手を高く掲げた瞬間が、奇跡の瞬間だった。

藤田騎手談:

「並びかけた所で勝ったと思いました。中間、熱発したりで順調ではなかったけど、底力ではサンデー産駒には負けないと思っていました。本当によく走ってくれました。」

小林稔調教師談:

「素質だけで勝った。馬に頭が下がる。」

わずか3戦目の差し切り勝ち。
2勝の内容の良さと欧州の一流血統から、
日本版ラムタラと騒がれた。
ただし、輸送で熱を出す体質により、皐月賞・プリンシパルSを回避。
約3ヶ月も間隔が開いたのでは、「勝つのは難しい」が競馬の常識だった。
・・・。
だが、勝った。
輸送時間短縮の為、深夜に東京へ輸送。
「最善を尽くした」
と語る小林稔師の仕上げが奇跡の足につながった。

(以上、私の部屋に飾ってある日刊スポーツから)

その時、私は・・

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